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「先生、可愛い」
長い口付けの後、ぐったりと脱力してして寝台に倒れ込んだ先生の頬に口付けた。
チュッと大きな音が立ったそれに、先生は目を見開いて頬を押さえながら、涙目で俺に噛みつく。
「か、可愛い訳ないじゃないですか! 何、言ってんですかッ」
そういうところが可愛いのになぁ。
あえて反論せず、ふふふと笑って先生の目元に口付ける。擽ったそうに身を竦める先生は俺の背中に手を回して、いたわるように撫でている。
うーん、先生やっぱり鈍い。
あれだけ濃厚な口付けを交わしておきながら、性的な匂いが全く出ていない。今時、アカデミー生でもそれぐらい察するだろうと思いつつ、これほど分からんちんの先生が、男と関係を持っていることなんて有り得ないだろうと、一人結論付ける。
ちゅっちゅっと音を出しながら、徐々に下に下がる俺に、先生は「あれ」と間抜けな声をあげる。
「あ、あのカカシ先生?」
顔を見せて欲しいと頭を撫でられる。撫でられるのは嬉しいんだけどね。それはビジンの時にでもやってちょーだいよ。今は、はたけカカシしかできないことをするんだから。
「カカシ先生?」
胸元に口付けていると、先生が不安そうな声を出した。
その声を変えたくて、にやりと笑って横にある胸の頂きに舌を這わせる。早くそういうことだって気付きなよ。
「うぁっ」
びくんと過剰なまでに体を震わせた先生の顔色を窺う。
舌は出したまま、触れない距離で見上げれば、先生の顔は真っ赤に染まっていた。
信じられないと目を大きく見開く先生に、見せつけてやるように舌先で擽る。ちゅぱちゅぱとわざと音を立てて吸いついてやれば、先生は切羽詰まった声をあげた。
「ちょ、ま、待ってください!! うぁ、う、嘘だっ、ま、待て!!」
頭を撫でていた手が、遠ざけるために頭を押し返す。でも、これだけ感じてくれてるんだから、みすみす逃すのも何だかねぇ。
一旦顔を起こせば、先生がほっとして力を抜いた。そういう警戒心のなさも可愛いよと呟き、先生を起き上がらせる。
「わ」
ぽすんと俺の体にもたれかかる先生の鼻傷に、口付けを一つ送る。子供じみたそれは先生のお気に入りになったのか、ひどく嬉しそうに笑って、お返しに俺の左目に走る傷に柔らかい口付けをくれた。
すごく大事にされている気がした。
ふふふと笑う先生を見て、先生も俺と同じように感じたのかなと優しい気持ちになった。でも、目的はそういうことではない。
両腕から垂れ下がるパジャマを持って、すっかり気を許している先生の腕を後ろ手に組んで結んだ。
「………え?」
ぽかんと口を開いた間抜けな顔に、ちゅっと口付けて、俺はにっこり笑って言う。
「邪魔しなーいでね」
「は?」
とんと軽く押せば、先生の体が寝台へと倒れ込む。
枕元に広がる黒髪が扇情的だ。つつつっと、胸元に指先を押し当て手繰れば、びくりと体が跳ねる。
目を白黒させて、これから何をするのかと、まだ認めようとはしない先生に、耳元でうっそりと笑ってやった。
「一緒に気持ちいーことしまショ」
先生の息を飲む音を合図に、手を這わした。
敏感に反応を返す乳首は勿論のこと、どこに先生の感じる場所があるのかを丹念に探す。
根っから素直な先生は、感じる場所に手が触れると、「そこは触んな」とか「止めろ、馬鹿!!」と口で教えてくれるから、大変助かった。
強がっていた声にどんどん甘い響きがこもるのが嬉しくて、ねちこく触っていたら、俺の太ももに固いものが触れた。
体を起して覗けば、先生のものが声高に主張している。
「あーぁ、先生の窮屈そうね。パジャマ汚れちゃうから、脱ごうか」
「はぁ?!」
はぁはぁと息をついていた先生が、体を起こそうとする。
暴れる前に脱がしちゃえと、上忍スキルを如何なく発揮してするりと下着ごとズボンを脱がせば、何とも可愛らしい性器がお目見えした。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
先生が涙目になって隠そうと左右に動くが、まな板の鯉の状態の先生の努力は全く持って無駄だった。
「……先生、あんまり使ってないの?」
「ば、ばか! 生まれつきだ、生まれつきッ」
先生のものは俺のと違って、本当に可愛かった。サイズはたぶん普通だろうが、その色が違う。
俺は極悪なほどまで赤黒いのに、先生のときたら目にも優しいピンク色に近い赤なのだ。
「う、うぅぅ、じろじろ見んな、変態!!」
悔しそうに目に涙を溜める先生に、きゅんと胸が引き絞られる。
そうやって恥じらわれちゃうと、戦忍の血が騒いじゃうのーよね。
「ねぇ、先生。今日、お風呂場でやってたんでショ。俺のなーに思いだして扱いたのよ」
苛めたくなって囁けば、先生の顔は湯気が出るんじゃないかというほど真っ赤に染まった。耳まで赤くするそれに、俺の嗜虐心が擽られる。
「い、言うわきゃねーだろがっ」
噛みつく先生ににっこりと笑みを返す。まぁ、当然言いたくなーいよね。でも、そういう態度が煽るんだって。
きっと睨みつける眼差しが心地いい。その眼差しが堕ちる瞬間はさぞ気持ちがいいだろう。
ぞくぞくと肌が興奮に震える。
まぁ、でも、始めは優しくーね。
「ねぇ、いいじゃない、教えてよ。ご褒美あげるから」
口端に口付けて、そっと先生のものを握る。
「っう」
乾いた手は痛かったのか、眉根を寄せる。痛がる顔もいいなと腐ったことを思いつつ、性器にまとわりつく先走りの液をゆっくりと手に馴染ませ、優しく撫でる。
「、は、ぁ」
堪えるように顔を背け、枕に横顔を押し付ける。それを許さず、正面に顔を戻し、こっちを見てと言い聞かす。
「ねぇ、先生。俺、先生をいじめるつもりはなーいのよ。でも、先生、素直になってくれないからねぇ」
もどかしいまでにゆっくりと触れる手は、先生にとって苦しいのだろう。
「か、カカシせんせ!」
見上げる瞳が非難する。動き出そうとする腰を足で押さえ、あくまでゆっくりと甚振るように撫で上げた。
もじもじと体が揺れる。戯れに敏感な鈴口を掠ってやれば、ひっと小さな声をあげた。
「か、カカシ先生!!」
なかなか言わない先生を手ごわいなーと笑いつつ、さきほど見つけた性感帯を掠めるように撫で上げていたら、ついにイルカ先生は声を荒げた。
「い、言いますから!」
「ん、なーに?」
上に張る乳首をピンと弾いてやれば、はっと色っぽい息を吐く。
それに合わせてびくりと揺れた性器に、すごい飲み込みの早さだと感心していれば、先生はぐすりと鼻を啜りながら小さな声で言った。
「手、です」
思ってもみない箇所に、「は?」と素で聞き返した。
「だ、だから手です!! 俺、先生の手が好きなんです!!」
ぐわぁあと真っ赤に染まった顔から嘘は見つけられなかった。うーんとしばらく考え込んで、自分の手を見る。
何の変哲もない俺の手。
「……先生、案外フェチ入ってますね」
「わ、悪かったな!!」
一体何がいいんだと思いつつ、俺はそうだと思い立つ。
「か、カカシせんせ」
もじもじと動かない足を動かし、先生は俺に強請る。分かってる分かってる。でも、もうちょっと待って。
熱っぽい目で見詰める先生に微笑みかけ、熱い息を吐く口に好きだと言った俺の手を突っ込んだ。
びっくりした顔で俺を見た先生に、俺はしたり顔で言う。
「ご褒美。俺の手が好きなんでショ?」
指を3本突っ込んだ口から、非難の声が漏れ出る。それを笑って、俺は強請る。
「ねぇ、舐めてよ」
本気に至るまでにはいかないが、結構な力で噛んでいた顎が、俺の一言で緩む。
何か言いたそうな目つきで睨んでいる目に優しく促せば、先生は視線を逸らすと、観念したかのように目を閉じ、俺の指を舐め始めた。
指先から温かくて柔らかい舌が這う。時折、吸うように溜まった唾液を嚥下しながら、ゆっくりと丁寧に爪から甘皮まで指を確かめるように舌が移動する。
「、ふ」
息苦しくなって、時折鼻から呼吸が漏れ出る。ちらりと不安そうにこちらを見詰める眼差しに、どきりと鼓動が跳ねた。
「気持ち、いいよ」
喉が渇くような、切羽詰まった思いを押し殺し、掠れる声で呟けば、先生は少し顔を和らげ、前よりも一層丁寧に指を舐め始めた。
紅潮した頬。食む唇。時々、口を開けて、息を整えてから再び口に含む。黒い睫毛が小刻みに揺れている様。
どれもが、体を熱くさせる。
始めこそ余裕をかまして見ていたのに、今はじりじりとした焦燥が身を焦がした。
「ん」
指の股をいやらしく舐められて、つい声が漏れ出た。
驚きに見開く先生の目に、我に帰り、ぐわぁと顔に熱が集まる。
「も、もういい。もういい。はい、ありがとーね!」
ぐいっと無理矢理口から指を取り返せば、「あ」と小さく先生が声を漏らした。
その残念な響きといやらしい声音に、ぞぞぞと体が震える。
あ、危ない!! この先生、相当いやらしい……!!
鼻血が出るかと思ったと体を震わせれば、先生はどこか気だるげな表情で目を細め、静かに息を吐いた。
ふっと吐息が零れ出た唇は少し開き、口付けを乞うているように見えた。
まるで誘っているかのような色香の漂うそれに、ぐわぁと全身から汗が噴き出る。
いやだ、先生、本当に淫乱じゃない?! やっぱり、イルカ先生、そういう経験があるんじゃなーいの?!
廓の女よりも艶っぽい姿に、むらむらと黒い炎が燃え上がる。
こうなりゃ真相をその口から聞くまで容赦はしないと、唇に噛みついた。
「ん、え、ちょ…!」
先生のものはまだ芯が通っているが、焦れた熱は峠を越したらしい。落ち着きを取り戻している先生を手っとり早く煽るために、性器に指を絡めて、問答無用で扱いた。
「ん、んーーん!!」
休憩させろと喚いているのか、まだ余裕な先生をひとまずイカせてやれと輪っかを作って、緩急つけて扱いた。
すると、ほどなくして、先生の体はびくりと跳ねるなり、腰を突き出すような格好でイッた。
口付けを解いてやれば、はぁはぁとだらしなく息が零れ出る。
息を整えさせるのもほどほどにして、ぐったりとして弛緩している体に容赦なく手を這わせ、力を失った性器をもう一度触れる。
「っ、ちょ、カカシせんせ、や、ちょっと!!」
荒い息の合間から悲鳴のような声が出る。
ちょっと黙っててよと、今まで留守にしていた乳首に吸いつけば、先生の声が濡れた。
「っあ」
びくりと跳ねる肢体と、媚びるような声音にますます神経が苛立つ。
項から、耳、脇腹、二の腕の裏。
先生の感じるところをしつこくねぶっていれば、先生のものが徐々に固くなっていく。
反り返るそれを見つつ、放出を求めて膨らんだ瞬間を狙って、根元を指で塞き止めた。
「っっっあ!!」
まさか押さえられるとは思っていなかったのか。
先生は大きく息を吐いて、目を見開いた。その目からぼろぼろと大粒の涙が零れる。
「っ、な、なんでッ! ひどッッ」
のたうち回るように首を振り、髪を振り乱す様を見下ろしながら、俺は冷淡に切り出す。
「ねぇ、先生。先生ってさー。こういうこと他の誰かとしたことあるの?」
「やめ、ろ! 離せッ、離せ、この野郎ッッくそッ」
頭は快楽の先を求めていて、俺の言葉が届かないようだ。
ふーっとわざとため息を吐いて、びくびくと波打っている性器の出入り口に爪を立てた。
「う、あ!!」
ぴんと体を硬直させ、先生の口から苦悶とも快感ともつかない声が迸る。
「ねぇ、先生。ちゃーんと言うこと聞かないと、次はもっとひどいことしちゃーうよ。いいの、それでも?」
聞きわけのない子を叱るように言い含ませれば、先生は俺の顔を見詰め、ぶんぶんと首を振った。
「いい子だーね」
広い額にちゅっと唇を寄せれば、先生の瞳からぶわりと涙が出て、顔をしわくちゃにして泣き始めた。
「大丈夫、大丈夫。ちゃーんと答えてくればひどいことはしないから、ね。分かった」
こくこくと頷く体は少し震えている。そのことに少し苛立った気持ちを慰められながら、もう一度聞いた。
「ねぇ、先生。俺以外にこういうことしたことあるの?」
ぐずる先生に優しく聞けば、先生はこくんと頷いた。
何ぃぃ?!
つい力が入って、塞き止めている性器を思い切り握ってしまった。
「っっ!!!」
声のない悲鳴をあげた先生に気付いて、慌てて緩めれば、青白い顔をした先生が俺を怯えた表情で見上げていた。
「あ、ごめんごめん。大丈夫、大丈夫」
安心させるように頭を撫でてて、顔に口付けを降らせば、荒くなっていた呼吸が少し落ち着く。
「うん、それで、一体どんな人と?」
知っている輩ならそいつはぶち殺すと、決意していれば、先生は途切れ途切れに言った。
「廓の、姐さん。教職就く前に、いい加減男になってこいって、部隊長に連れられて……」
思っていたことと遥かに異なっているせいで、先生の言葉がどうも信用できない。
「……先生。それ一回だけ? それに男とは? 男とは何もないの?」
そうだ。先生はあのアサリとかいう丸顔と話していたではないか。『あれほど男はイヤだ』と。あれはどうなるんだ!!
俺は騙されないからねと、歯ぎしりして回答を待てば、先生はすんすん鼻を鳴らした。
「俺、こんなだから、恥ずかしくて。姐さんにも可愛いって散々ぱら言われるし。受付座ってると色んな奴いて。俺みたいな男がいいって言う奴らはいたけど、こんなこと、したことない」
どうやら俺は勘違いをしていたようだ。
すんすん鼻を鳴らして泣く先生が可哀そうになって、深く反省する。
一度思い切り握りしめたことで、先生のものはへなっていた。
「ごめーんね」と謝罪も込めて、口付けを送ろうとした時、先生が俺を真っすぐ見詰めてきた。
その眼差しの強さに驚いて見返すと、先生は眉根を寄せて怒鳴った。
「俺が望んですんのは、あんただけだッ! ばっきゃろーー!!」
その大声に面食らって、その次に、言葉の意味に心臓を破壊された。
かぁーっと全身が燃え上がる。
何て殺し文句だと絶句して、もう後は言葉なんかいらないかと目の前の体に食らいついた。
「っは、カカシせ」
嫌がるように首を振る先生の言葉を無視して、一緒に高みを目指す。
俺の両手はどちらともつかないものでべたべただ。
自分のものは煩わしいけど、先生のはいいなと狂った頭で考え、嫌がる先生の頬に口付けて宥めた。
「なーんで、気持ちいいでショ?」
これで一緒に放ったのは3回目になる。まぁ、先生はその前に一人でイカせたから4回目だけど。
「まだまだ元気じゃなーい」
腹につくほど反り返っていることを指摘してやれば、先生は零れ出る甘い声を奥歯で噛みしめ、声を押さえた。
「なーんで声押さえんの。聞かせなさいよ」
上擦る声を耳元に注ぐ。触れる息まで感じるのか、びくりと体と先生のものが波打つのを笑い、聞かせてと誑かす。
「っ、うっせ、ばか!」
途端に返ってくる悪態に、眉根が寄る。
「かーわいくないの」
「あ、ったりま、う、ああ!!」
口を開けた瞬間を狙って、動かす手を速めた。零れ出た言葉はすぐさま嬌声に変わり、耳を楽しませてくれる。
鈴口を捻って時折袋を揉んでやって、粘着的な音がひどくなるのを耳にとらえ、早めることだけに集中する。
「一緒に、いくよ」
はっとため息と同時に口に出せば、素直になった先生が頷いた。
背筋を伝って襲った快楽に素直に任せれば、ほぼ同時に青臭い匂いが充満する。
「あ、ぁ」
息を殺した俺とは反対に、引きつった声を上げる甘く低い声が耳に反響する。
全速力で駆けた疾走感と、突き抜ける快感の余韻を味わいつつ、ぜいぜいと大きく呼吸を繰り返す胸へと頬を寄せた。
鼓動がすごい早さで鳴っている。
ちらりと上向けば、ぐったりと疲れた顔で目を閉じている先生がいた。
乱れた髪が頬に張り付く、その憔悴しきった顔には艶があって、思わず生唾を飲み込んでしまう。
「……せんせ、もっかいいい?」
我慢できずに薄らと開いた唇に口付ければ、先生が目を開いて、眉根を寄せた。
「………ばかやろ、一人でしてろ」
力なく吐いた言葉は可愛くないけど、目元や頬を赤らめる先生はやっぱり可愛かった。
ぐぐっと力を増す自分のそれに苦笑しつつ、まだまだ終われないなと、目の前の可愛い人を誑かせるために、再び手を這わせた。
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うん、言い訳させてもらえば、そうですね。
この時点での挿入はなしだっと思ったんだ……orz
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