体中が痛くて、四肢はぬかるみにはまったように重い。けれど、それにもまして凍えるように寒かった。
視界は闇に閉ざされたまま、一人、重い手足を引き寄せ丸くなる。
この世の中で、たった一人残されたような気になって、押しつぶされるほどの孤独に襲われる度、一人の少年を思いだした。
黒髪の笑顔が可愛い子。
鼻に横一文字の大きな傷をこさえるほどやんちゃで、慎重というよりは臆病なまでに行動を躊躇ってしまう自分の手を握り、無茶な遊びに連れ出された。
時々、大人たちから大目玉を食らい、叱られたたこともあったけれど、あのときほど自由に、そして心の底から笑ったことはなかった。
カカシちゃんと舌足らずな口調で名を呼んでくれた、幼なじみ。
イルカ。
目を閉じれば、幸せだった日々が蘇る。その中には弾けんばかりに笑顔を浮かべたイルカがこちらを見ていた。
あぁ、イルカに会いたい。
暗闇に閉ざされた中、目を開き、唇を開く。
声を形作る音は一向に出てこなかったけれど、不思議と寂しさは消えていた。
いつか。きっといつか会う。
何もない、天とも地とも分からぬ先へ、もたつく手を伸ばした。
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始まりました、キリリク!
この度は短いです。すいません。
今回はシリアス気味です。題名で察した方、そうです、あの方の歌です!! 歌から小説、キリリクとなります。
題名が、思いつきませんでした……。かふっ。
飴玉の唄 序章