RE:プレゼント 前編








神様と、信じてもいない神に祈りを捧げる。
目前には、俺に覆い被さる暗部なプレゼントがうっそりと笑っていた。






完全に圧し掛かられてから、かれこれ何分経ったのだろうか。
「仕込むよ」宣言を受けた後、何が起きるのかと口から飛び出そうになる心臓を、歯を食いしばって止めていたのに、男はあれから行動を起こそうとはしない。
プレゼントにもらった男は、はたけカカシという名だそうだが、そのカカシさんは至近距離で俺をじっと見つめるだけだった。
時折、フンハーッと強い鼻息が頬にかかるのが不気味だ。
こんな目に遭うなら、いっそのことさっさと裸にひん剥かれて、ズバなりズボなりしてくれた方が気が楽だ。
生殺しをされているようで、違った意味で心臓が荒れ狂う。







「あ、あの」
もうこれ以上見つめられるだけプレイは耐えられないと、口を開けば、「はぁん」と感じ入った声が聞こえて、思わずビクつく。
「……イルカ…、かわいい。どうしよう、オレ、イルカを見てるだけで……」
くっと呻き、もぞもぞと腰を動かすカカシさんに、何て返していいか分からない。
いやいや、でも分かっている。カカシさんが何をしているかなんて、同じ男なら十分察しがつく。
「イルカ、イルカ」と一人で勝手に腰を押しつけられるに至って、もう我慢の限界だと叫んだ。
「カカシさん!! さっさとやりましょうッッ」
選択肢が一つしかないなら、突き進むしかない。
これでも拷問訓練は受けているんだと叫べば、突然、カカシさんは呻くなり前かがみで倒れ込んできた。






ぱっと見の印象は細いが、密着してきた体は十分鍛えられており、体重がかかった体は重かった。
一体何が起きたと、訝しがるより先に、満足げなため息が耳をくすぐった。
「も、イルカってば…v テクニシャン、なんだから」
顔を上げたカカシさんの頬は紅潮し、うっすらと汗が浮かんでいる。潤んだ赤と青灰の瞳と、色づいた赤い唇に、思わず喉を鳴らしてしまった。
自分の中で芽生えた感情に戸惑いつつ、カカシさんの言葉に疑問を覚える。
テクニシャン? 誰が? 俺が?
「は?」
何もしてないと口を開きかけた俺の手を取り、カカシさんはにやりと口端をあげた。
そのまま俺の手を下に誘導した直後、しっとりとした固い棒の感触が手に伝わる。
何だと聞くよりも早くその棒に思い当たり、手を退けようと暴れた。なのに、カカシさんは俺の手をそこに押しつけ、腰を動かし始めたではないかッ。






「なッ、ま、な?!」
ダイレクトに俺を使ってきた行動に、動揺する。
ぐいぐい押しつけてくる腰を見つめ、カカシさんの顔を見れば、恍惚の表情を浮かべていた。
「あ、イルカ…、ごめ、止まんないっ。もう一回、先に抜かせてっ」
と、勝手なことを言ったと思えば、俺の手をズボンに入れるなり、モノを無理矢理押しつけ、そのままラストスパートに入りやがった。






うあぁぁぁぁあっぁぁぁぁ。
内心、大パニックだ。
他人のモノを持つのも初めてなら、他人の自慰を間近に見、いや手伝ったのも初めてだ。
心臓が早鐘のように鳴り響く。訳が分からなくなって、押しつける固まりをただ受け止めていれば、
「あ、出るっっ」
せっぱ詰まった声をあげた直後、何を思ったか、カカシさんは俺の手を離し、ズボンをずり下げるや、俺の眼前に突きつけてきた。
……でかい。
男として自信を無くしそうなでかさに打ちひしがれる間もなく、飛んだ。
びしゃりと何かが飛んで、俺の頬にかかる。
思わず黙る俺。
対して、カカシさんは、何かを成し終えた後のように清々しい笑みを浮かべていた。





「っっっぅっっっっっっっぅぅ???!!!!!」
ぎにゃぁぁと心の内で叫んだ。
かけられた。
野郎にナニをかけられたッッ。
このまま気を失えたらどれだけ良かったか。
あり得ない状況に心を飛ばしていた俺の頬を掴み、カカシさんはうっとりと囁いた。
「あはっ。かわいい、イルカ。オレのにまみれてる」
口に出して言うんじゃねぇぇぇッッ!!!
必死に意識を逸らしていたのに、なんつうことを!!
文句を言おうとすれば、カカシさんが口を塞いでくる。
「む、っご、もががががっっ」
突然、息が吸えなくなり、俺は殺されるのかと一瞬恐怖にわなないた。
だが、落ち着けば鼻で息ができるし、目の前にはぼやけたカカシさんの肌と、銀色の髪が見えている。
唇にはとんでもなく柔らかいものがあたっているから、これはもしかしなくても口づけという奴なのかと、ようやく思い至る。
「っ、イルカ、好き、イルカ、好き」
吸いつきながら時折聞こえる切羽詰まった呟きに、混乱していた頭が少し冷静になった。
衝撃は大きかったが、これも俺と同じで経験のなさ故かと思えば、気持ちにゆとりが出る。
もしかしてカカシさんも緊張して、訳分からなくなってるとか? 気負いすぎて暴走しちまってるのかな…。






先ほどまでのぶっとんだ行動をした輩とは思えない、啄むだけのかわいらしい口付けをくれるカカシさんに、張っていた肩が緩む。
一生懸命、好きだと伝えてくるカカシさんの姿をかわいいと思ったのも事実で、まぁ、なんていうか……。
されるがままじゃなくて、俺も協力しようかなと思った矢先だった。
カカシさんは先走った。






「カカシさ」
「イルカ、イルカ! もう駄目っ、我慢できないッ。挿れさせてッッ」
………ん?
冗談だよなと思う間もなく、俺のズボンと下着は一瞬で引き抜かれる。
スースーする下半身を確かめる暇もなく、カカシさんの手が膝に掛かり、上半身に押さえつけられ、左右へ開かれた。
腰が浮き上がり、目の前にへなっている俺のものが見える。そして、その後ろには当然、男同士が使うであろう場所があるわけで。
開けっぴろげなその体勢に、恥ずかしさを覚えるよりも先に血の気が引いた。
マジかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!






「挿れる、挿れさせてッッ」
焦れた声を出し、俺のあそこにくっつけてきたカカシさんのものに悲鳴が出た。
「アホかぁぁぁッ! まだ早いッ、ストップすっとっぷ、ストーーップ!!!」
もがくが、上から押さえつけられていて、身動きが取れない。目の前には、ギラギラと野獣の目をしたカカシさんが身を乗り出している。
その顔に手をかけて押し返すが、全く何の役にも立っていなかった。
やる気だ、奴はやる気だ…! ま、まずい。このままでは明日のトイレ事情が血の惨劇となり果ててしまうッッ……!!
「イッ!!」
思った直後に、痛みを感じた。
とんでもなくでかいものが俺の無防備な場所へと押し入ろうとしている。
無理だ無理だ無理だって、こういう行為ってそれなりに準備とか何やらかんやら必要だって、下忍時代に仲間と一緒に肝試し気分で読んだ閨房術の本に書いてあったから、そんな入るわけねぇッつぅか、てめー、俺が年端も行かない頃から想像していた妄想とやらはどうした、イメトレは、イメトレの成果を今こそ見せるときだろうってのに、なんで、プッツンしちまってっかな、ここはオメーが思っているような丈夫な場所じゃねぇんだよ、そういう風にできてねーんだよ、このまま押し入ろうってんなら、俺はッッ。
メリメリと音が聞こえそうなほどの軋み具合と、痛みを感じた瞬間、俺は声を張った。





「嫌いになるからなぁぁぁぁッッッ」
涙目で叫んだ俺。
切羽詰まっていたとはいえ、飛び出た自分の子供じみた言い分に、己のトイレ事情のバッドエンドが脳裏に浮かぶ。
さようなら、健やかなトイレ。
そして、こんにちは、惨劇のトイレ。
ははんと、涙にくれる俺が待っていたのは、とんでもない痛みではなく、悲痛な叫び声だった。






「ヤダッッ! そんなのヤダッッ」
膝を押さえていた手が外れ、ダイブするようにしがみつかれた。
「ぐぇ」
突然飛び込まれて、肺の空気が飛び出た。
苦しいともがくが、カカシさんはイヤイヤと首を振って首にすがりつき、身も蓋もなく泣きわめく。
混乱しているのか、驚きすぎて思考回路が変になってしまったのか、要領の得ない言葉ばかりが飛び出た。
あんなに愛し合ってたのは何だったのか、毎晩毎夜、好きだ愛してるって囁いてくれたのは嘘だったの、自分のおなかにいる子供をどうするつもりだと、鼻水垂らして訴えてきた。
一体何設定だと問い詰めたい気持ちにされたが、このまま放っておくと、首の骨をへし折られる気がして、叫んだ。






「落ち着け! 頼むから、落ち着いてくれッッ」
「そんなこと言って、落ち着いた途端、捨てるつもりなんでショッ! 散々、オレの気持ちを弄んでおいて、いらなくなったら捨てるってッ。なのに、まだイルカのことが好きな自分がいて泣けてくるよッッ」
いやいやいやいや、もうお前泣いてるよな!
カカシさんの妄想設定に飲み込まれそうな自分に気づき、慌てて軌道修正する。
「ちょッ、ま、まだ嫌いになった訳じゃありませんってば! 嫌いじゃないですからッ」
張った声に、カカシさんの動きが止まった。
「ホント?!」
「ぐぇっ」
ぴょんと擬音語がつきそうな具合に飛び起きて、腹の上に座られた。
「ホント?! 今、言ったこと、ホント? イルカ、俺のこと好き? 嫌いになってない??!」
げほげほとせき込む俺の肩を掴み、揺さぶってくる。それに何とか頷けば、カカシさんは揺さぶるのを止めて、ふにゃりと笑った。






「よ、よかったァ」
眦に浮かんだ涙が頬に一筋流れる。そのまま無防備な笑みを向けられ、一瞬言葉に詰まった。
うわ、なんだコレ…!!
どくんと鼓動が大きく波打つ。
胸に手を置き、人差し指で涙を拭うカカシさんがすごく可愛らしく見えた。それに、可憐だとも。
俺よりごつくて、強くて、タッパだって、筋肉だってついている野郎なのに、ものすごく儚げで繊細でとても綺麗なものに思えた。
そして、俺は思ってしまったのだ。






この人を守ってあげたい、と。
俺の手でカカシさんの笑顔をずっと守っていけたら、きっと俺は幸せだと。






唐突に沸き上がった自分の感情に顔が熱くなる。
たぶん、これって。
ぐわぁぁと上ってきた熱にまごつく。カカシさんを直視できなくて目を逸らせば、カカシさんは俺の頬を掴み笑顔で言った。
「良かった。イルカが嫌いって言ってたら、プランBを決行するところだったーよ」
……プランBって、なんだ。
無理強いって好きじゃないんだよねと不穏な言葉を漏らすカカシさんに、一瞬背筋が震えたが、顔の熱を取るまでにはいかなかった。
「それじゃ、続きね」と、再び俺の膝を掴もうとするカカシさんに、俺は待ったをかける。
自分の気持ちを自覚したからって、譲れるものと譲れないものがある。






「ま、待ってください、カカシさん! カカシさん、男同士の手順、知ってるんですか?!」
一番聞きたかったことを口に出す。
「もっちろーんv イルカを思って、オレ、毎日毎晩励んで、今じゃ眠りながらでもやっちゃえるーよッ」
勉強熱心は結構なことだが、その内容が気になるんだ!
俺の太ももに手をかけたカカシさんの手を押さえ、俺はもう一度問う。
「じゃ、何を参考にしてたんですか?! カカシさん、経験ないんですよね? 一体、何をどうしてどう学んだんですかッッ」
忍大全、閨房術の書という答えを待っていたのに、カカシさんの口から出たのはとんでもない本の名前だった。






「『イチャパラ調教XYZ最終章。〜泣き叫ぶあの子に教えたのは、オレという名の快楽だった〜』だーよっv」
スコーンとさっきまでの浮ついた気持ちが一気に冷めた。
カカシさんが口に出した本は、発禁指定になった、かなりえぐい内容のドSな調教物25禁小説だ。
当然、その年齢に届いていない俺は読んだことも見たこともないが、三代目経由でその噂は聞いたことがある。
読むのでさえ、心弱い者は精神が削られていくと噂されるそれが、俺の身に降り懸かる寸前だった事実に魂が飛び出そうになった。






まずいと、押し倒された時の比ではないほどの焦りが俺を襲う。
逃げたい。
とにかく今は、逃げて逃げて逃げまくりたい。
だらだらと汗を流す俺の鼻先に、カカシさんは浮かれた調子で一つ口付けした。
「だいじょーぶっv イチャパラは愛と愛欲と、肉欲がふんだんに詰め込まれた純愛小説だからっ。オレとイルカがお手本にするべき指導書だーよっ」
だから安心してと根拠もへったくれもない言葉を吐くに至り、俺は決心した。
立ち上がった。
覚悟を決めた。
「カカシさん!!」
ん? と、カカシさんが俺を見下ろす。






「次回、持ち越しにしましょうッ」
男らしく、にかりと歯を見せて笑い、おまけに親指をぐっと突き出す。
「はい?」
こてんと横に首を倒したカカシさんに、俺ははっはっはと笑いながら機関銃のようにしゃべり立てた。
「ほら、カカシさん、任務終わってからここに来たんでしょ? やっぱり俺としては、自分がもらったプレゼントは大事にしたい性分ですし、カカシさんのお疲れもピークにきていることでしょうし、俺自ら労ってあげたいというか、積もる昔話でもしたい気分なんですよね、だってカカシさんは俺のこと知っているけど、俺、あまりにチビで覚えてないし、それって不公平だなと思うわけでありまして、あ、そうそう、俺、今からカカシさんのためにご飯作りますよ、何が好きですか、って残り物しか残ってないけど、イヤー俺、こう見えて料理うまいっていうか独身男のモテないシケた料理ですけど、カカシさんに食べてもらったら光栄というか、何というか、そういうことですので次回持ち越し、お互いちゃんと勉強して、再戦という話の流れでオッケーですよね? うん、オッケーということで、退いてくださいっv」
てへっと肩を竦めて、己で今できるであろう精一杯の可愛いポーズで笑みを浮かべてみた。
「……ふーん」
対するカカシさんは無表情で鼻をならしたが、俺の笑みを見て、カカシさんもにっこりと笑ってくれた。
その分かったよと如実に語る笑みに、俺は勝利を確信する。
よっしゃぁあぁ、回避できた、俺は回避できた、首の皮一枚で繋がったッッ。






「では」と、俺の腹にいまだ乗っているカカシさんに、退いてほしいなと視線を向けると、カカシさんはとっても優しい笑みを浮かべたまま、口を開いた。
「ダーメ。絶対、逃がさないから」
「はい、そうですよね。にがさーー」
耳の故障かと思った。
だって、カカシさんは菩薩様のような笑みを浮かべている。それはすべてを許す、慈悲深い笑ーー
「絶対ヤダ。オレ、今日イルカに初めてあげるって、あの時から決めてんだもん。絶対逃がさないし、止めないから」
きっぱりと言い切ったカカシさんの目は、ちっとも笑っていなかった。
………奴は、マジだ。
悟った瞬間、俺は死にもの狂いで逃亡を図る。対するカカシさんも、俺の行動を察して抑制してきた。






「ふざけんな、さわんじゃねぇよッ、この鬼畜野郎ッ! だいたいなっ、十数年男に懸想していやがるなら、ちゃんと手順学んでこいって話だろうがッ。おまえ、俺のトイレ事情を地獄に落とすつもりかッッ?!」
チャクラを発動させて、カカシさんの体が浮き上がった瞬間、うつ伏せになって逃げようとしたが、相手もさるもので俺の背中に引っ付いてきた。
「ひ、ひどい、イルカ! オレがいつイルカに鬼畜行為したっていうのよッ。イルカの初めてが最高のものになるように、オレ、厳選に厳選を重ねて、火影さまの秘蔵コレクションから盗んできたっていうのにっっ、何が気に食わないの?!」
「ッバロー! 全部だ、全部ッ。厳選に厳選を重ねた結果が、なんで調教もの選んじまうんだよッ。しかも発禁だぞ発禁ッ。初心者がドSの濃厚エロ本を参考書に選ぶ、おまえの頭を一度かち割って、中を見てやりてぇよッッ」
「ひどいッ! オレの愛を疑う気?! オレの頭の中はイルカだけだよッッ」
「なら、気遣いってもんも覚えろよなッッ! やられる身にもなってみろってんだっ、ドSがッ」
敬語なんてそっちのけで罵った。
じたばたと足掻き、上にアンダーを着ているだけの情けない姿で、後ろに蹴りを繰り出す。
しかし、カカシさんは腐っても暗部だった。
俺の攻撃なんて、まるで効いちゃいない顔で受け流し、うつ伏せになったのをいいことに、四つん這いの姿勢を取らされた。
ぐいっと首を畳みに押さえつけられて、カカシさんに尻を突き出す格好になる。






「やっぱり…初めは挿れやすい角度じゃないとーね。あの本にも、そう、書いてあったもの…」
はぁはぁと耳元に落ちる荒れた呼吸が、嫌な感じで俺の危機感を煽る。
ひぃっと声をあげ、無遠慮に尻を撫でてくる手にドン引いた。
「いやいやいや、マジすいませんッ。ごめんなさい、無理です、無理なんですッ。経験もない俺たちが挑戦するには、ハードルが高すぎますって、マジで!! 俺ももちろん、カカシさんだって大ダメージ食らうに決まってますってっ。考え直してくださいよ、カカシさんッッ、お願い、お願い、頼みますっ」
こうなれば懇願あるのみだ。
するのが嫌っていうんじゃない。ちゃんとした知識を得た後で、仕切りなおそうと言っているのだ。
俺は今、流されているのではなく、明確な意志を持ってカカシさんとのお付き合いを真剣に考えている。
そう、それは明日のトイレ事情のためということではなく、これから二人がよりよい関係を作るための第一歩として、初の共同作業ということで…!!
「カ、カカシさんッ」
呼びかけても応えないカカシさんが恐ろしすぎる。
確かめるように、本来挿れる場所ではない場所をしつこく触るカカシさんの指に、ガタガタと体が震えた。






「はぁ、イルカ。好き。だいじょーぶ。裂けようが、出血しようが、粘液出ようが、白くなろうが、血豆がいくつできたとしても、オレはイルカのここを愛すよ」
いいいいいいやいやいやいやいやッ!! おまっ、俺を肛門科の常連にするつもりか、ってか、それ前提って何考えーー
「いッッ」
ぐりっと乾いた指を差し込まれ、皮膚が捩れてとんでもない痛みを発する。
ま、まさか……!!
ある可能性に思い至り、体から冷や汗が吹き出た。
何か言おうとする前に、尻にとんでもないものが押し付けられる。
「待ってッ、せめて潤滑油をッッ、滑りを良くするものを使ってくださいっ」
半泣きで口に出せば、カカシさんは俺の首筋に顔を擦りつけて、くぐもった笑い声をあげた。
「直ぐに濡れるようになるよ。――痛みも、快楽だってことを知って」
その発言にうぞぞぞぞぞと背筋に毛虫が這ったような心持ちにさせられた。
間違いない。
カカシさんは、イチャパラの台詞をのたまっている。しかも、肝心なことを忘れている!!
「カ、カカカカカカシさ、お、俺はお、おおおおお」
「なーに? オレのおっきいって? も、イルカってば大胆っ」
キャピっと弾んだ調子でめりこんできたものに、脂汗が流れ出た。
もはや意識が飛ぶのは時間の問題だ。
だが、せめてと、せめて潤滑油をと唸った声は、とんでもないバカ発言に掻き消された。






「そのうち、オレを見るだけで濡れるようになーるよっv」






だから、男は濡れねぇってくぁwせdrftgyふじこぉlpッッ―ー









――俺とカカシさんは、二人で地獄を見た。













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…下ネタすぎて、某所には投稿できませんでした……orz
ワンクッション起きましたが、それでも不快になったらすいません。
運が悪かったと、お許し下さいませm(_ _)m