けものびと 2
ほうと、今にもため息を吐きそうなほど、うっとりと頬を染めているゴリラの店長に、犬の獣人であるロルフは顔を歪めた。
ここは、『ヒト』を専門に売るペットショップ、「アイラブヒト」の店舗である。
ヒトといえば、捕獲された過半数が珍味として加工食品となるのが一般的だ。珍味というだけあり、日々食べる者はあまりおらず、何かのお祝いやちょっとしたパーティで出される、微妙な立場のヒトだが、このペットショップでは食品用のヒトまで買い上げ、ペットとして売り出している。
おかげで愛玩用として好まれているヒトの子供はあまりおらず、見目があまり良くない加工食品行きの大人のヒトが、他のペットショップと比べれてケタ違いに数多くいる。
ただ、店長の目利きが確かなためか、見目が良くないにも関わらず売れるヒトは多い。そのおかげで、売れ残りのヒトを加工業者へ引き取ってもらったことは一度もなかった。
売れ残りが多いヒトペット業界で、一度もそのような辛苦を舐めていないことは、ロルフにとって行幸であり、このペットショップに勤められてよかったと常々思うところでもある。
店長いわく、売れるヒトは必ず何か一芸を持っているということだが、子供のヒトと、これぞ愛玩といわれる可愛い見目のメスのヒトをこよなく愛する(愛玩動物として)ロルフにはよくわからない話であった。
そして、本日、数か月に一度開かれる大市場で、加工食品用として特価で売られていたヒトをご機嫌で買ってきた店長の行動は常軌を逸していた。
獣人の中でも反則級の力を有しているゴリラ種の、しかも格闘好きで、スタッフたちが声をそろえて止めろというのに日々の鍛錬を欠かさない店長が、こともあろうに脆くて弱いヒトと、ちょっとスキンシップしてくると鼻歌交じりに言って、広場に離したのだ。
やめて、お願い待って!! その後のスプラッタな掃除は一体だれがするの!!!?
店長の言葉に内心悲鳴をあげたのは何もロルフだけではないだろう。
何せ、この店長は、ヒトが大好きで愛していると常々叫んでいるにも関わらず、ヒトを誤って殺してしまうのだ。
この店に来た、怯えて震える子供のヒトを時間をかけてゆっくりゆっくりと慣らし、とうとうロルフを見て笑うようになった天使なあの子も、この店長は「いやーん、ワタシも抱かせてぇ」とロルフの胸から奪い取り、圧死させた過去を持つ。
あのときは本当に絶望した。自分がもっとしっかりしていれば、この店長の暴挙を身を挺して守ってやることができたのに。
声もなく泣き崩れるロルフの隣で、店長も号泣していたが、知ったことではない。
それ以後、スタッフは一丸となって、店長のヒトへの接触を禁じた。
ヒトと仲睦まじく触れ合うロルフやほかのスタッフを物陰で見つめ、その周辺の物を握りつぶしたりなんだりとしてくれたおかげで経費は嵩んでしまったが、店長によるヒト殺しはそれ以来なりを潜めていた。だがそれも今日まで。
店長の有り余りすぎる好き好き馬鹿力を受けて犠牲となるヒトに、ロルフを始め、スタッフの誰もが憐憫の眼差しを向けていた。だが、予想を遥かに超える出来事が目の前で起こった。
顔のど真ん中に傷が横切る大人のオスは、抱きしめようとして力が入って思わず拳を繰り出す店長の腕を掻い潜り、待て待て~と足で優しくヒトを挟もうとして、力の配分を間違えたのか蹴りだす店長の足を避け、信じられない速さで店長を相手に対等に渡り合っていたのだ。
おまけに時折店長の体に手や足で触れることまでしてのけるため、店長の喜び具合は半端ないほどに盛り上がり、しまいにはスキンシップから、格闘戦のごとき様相を表し始めた。
だが、それでもヒトはすごかった。ビョービョーと風を切って音を鳴らす、一発当たれば即死であろう拳と蹴りをひらりひらりと蝶のようにかわし続け、ついには生き延びたのだった。
十分触れ合えたことが嬉しかったのか、その場で嬉し泣きしながら雄たけびをあげる店長に、頃合いだとスタッフ一同駆け寄り、奇跡的に生き残ったヒトを保護するべく、ロルフはそのヒトを回収に行った。
だが、そのヒトは店長と渡り合えるヒトだ。そんじょそこらのヒトではない。鎖がついていたことから、前もって店長がスタッフ用に、ヒトの安全制御の首輪をつけていたので、心の中で謝りつつ手っ取り早く失神させることにした。
通常なら絶対やらないことだが、ロルフだってわが身が可愛い。
あとから店長に、何故失神させたのと怒りの顔で詰問されたが、店長と渡り合えるヒトと、ロルフが愛して止まないヒトと一緒にしないでもらいたいと主張させてもらった。
それから店長は失神したヒトを大層大事そうに抱え、自ずから風呂に入れさせ、どこから取り出したのか真新しい衣装を着け始めた。
「やぁん、可愛いーっ」
「もうルルちゃん、最高~!」
野太い音で黄色い声をあげながら、ヒトをめかしこむ店長に、スタッフは何も言えなかった。
そして、この店で一番目立つ、特別展示室をピンク色に染め、眠るヒトをクッションに寝かせた後、店長は仕事もせずにずっと物陰からルルと名付けたヒトを見守っている。
かれこれ2時間は見守っている店長に、ロルフは古株の一人として意見をしにいくことにした。
「店長。いい加減、働いてくださいよ。これから帰宅ラッシュが始まってここの通りもにぎやかになるんすよ。それなのに、外からよく見える特別展示室、しかもその後ろででかい図体の店長が覗き見している姿を晒して、お客さんびびらせちゃダメでしょうが」
先ほども親子連れが前を通り、特設展示のヒトを微妙な顔で見た後、奥にいる店長に気付いたのか顔を青ざめさせて足早に通り過ぎていった。
暇ならそこの床拭いてくださいと雑巾を渡すロルフに、店長は心外という表情を曝け出す。
「ま、アタシがいつさぼったっていうのよ! こうして初めての環境に慣れないだろうルルちゃんを影ながら見守るという仕事をちゃんとこなしてるでしょう。ロルフってば、何を見ているわけ!」
ぷんすかと口で言いながら頬を膨らませ、両腕を組む店長は、顔と体格のせいもあってちぐはぐ感が否めない。
店長はれっきとした男だが、四人の姉を持つ末っ子という立場だったせいか、女言葉で喋る。なのに、種は違えどロルフから見ても美人といえる嫁さんと可愛い娘がいるパパなのだから獣生何があるか分からない。おまけにヒトに情熱と愛を捧げる店長を、嫁はべた惚れしているらしい。
独身のロルフからすれば、一体どうやったらあんな美人な嫁が、しかも仕事にも相当理解を示してくれる出来た嫁がきてくれるのか疑問しか沸かない。
おねぇ言葉に変わり種のヒトを執着する変なゴリラなんだけどなぁと、ペットショップのスタッフTシャツとエプロンをムチムチに押し上げている筋骨隆々の肉体を見つめつつ、ロルフは言葉を続けた。
「あと店長。この店に来たばかりか、店長にあんなに甚振られて、ナーバスになっているだろうに、いきなり特別展示室に入れるのはどうかと思いますけど」
普通は仕入れてきたヒトはここの環境に慣らすためにも、奥の静かな環境で、しばらくはヒト同士で固まらせて暮らさせる。
ロルフの心配は的中し、展示室の中のルル(仮名)は大層混乱した様子で、鏡の前に鎮座し、髪を振り回している。というより。
「店長。ルルってオスですよね? あの服って、ヒトのメス用じゃ……」
ヒトは賢い生き物だ。それに獣人とどこかしら似た感覚を有している素振りも見せる。長年、ヒトと接し続けたロルフだからこそ言えることだが、あのオスはメスの服を着せられたことに動揺しているのではかろうか?
来た時に身に着けていた服は質素であり、簡易だったがオスの服だったように思う。
考えるロルフの前で、ルルは目を見開き、何かに気付いたようにおそるおそるスカート部分を持ち上げ、中に着込んであるものに気付いて動きを止めた。
十数年この店に勤めあげ、ようやくヒトの表情というものを見分けることができるようになったロルフの目からして、ルルは絶望という感情を顔に張り付けていた。
確かにオスなのにメスの服、ましてや下着までメスのものだったら衝撃は計り知れないだろう。
終いには目尻に涙を浮かべ始めたルルに、同情の眼差しを向けていたロルフの前で、店長はキャーッと嬉しそうな悲鳴をあげた。
「見た、ロルフ! ルルちゃんってばあんなに喜んじゃって!! あたしのとっておきを着せてあげてよかったわぁ。ああいう子が来た時用に、買い溜めていたの~。あ、安心して。もちろん、自腹よ、自腹。可愛い子はやっぱり可愛く着飾ってあげるのが義務だと思うのよ~」
この店のスタッフはヒトの表情や機微に関して、他のペットショップの追随を許さないほどに優秀だが、店長だけは別だ。愛情は人一倍あるのに、そういう細かいことには一切気付かない。そのことが原因でスタッフともめたりするが、最後はスタッフの意見に渋々従ってくれるため大事にはなっていない。
「ルルちゃん、可愛いフリルが似合うから~、着せ甲斐がある~」と、どこから取り出してきたのか、白のフリルまみれの服とルルを交互に見つめ、だらしなく鼻を伸ばす店長にロルフは遠い目になる。
だからアンタ、ヒトに嫌われるんだよ。
このペットショップでヒトに嫌われているナンバーワンの店長。
だが、その嫌われ者の存在が、ヒトと円滑な関係を結ぶ一助となっているため、スタッフの誰もが店長に助言をすることはなかった。
きゃっきゃと明日は何を着せようかしらとルルに夢中の店長に見切りをつけ、ロルフはせめて新参者のルルの心労がこれ以上増えないように、大通りに面する以外のガラス面へカーテンを引いてやる。
後ろでいやぁぁあたしのルルちゃんが見えないと騒いでいたが、知ったことでない。出会ってから間もないというのに、ルルはあの店長によく付き合ったと思う。何かと激動な一日だったため、今日はもうゆっくりと休めとロルフは一人心のうちでルルに語り掛けた。
三面すべてにカーテンを引き、隙あらばカーテンを上げようとする店長を牽制していると、大通りを何度も通り過ぎてはこちらを異様に気にしている獣人を発見する。
会社帰りだろう銀色の毛並みを持つ狼の獣人で、引き締まった体躯に高級なスーツを身に着け、持つカバンも時計も、靴もかなり高価な品だことが、傍目で見て分かった。
この近くにある商社の者だろうかと見当をつけつつ、その者の動向を探っていれば、行ったり来たり、行ったり来たりを何度も繰り返している。その眼が捉えているのは、特別展示室にいるであろうルルで。
「!? 店長、やりましたよ! 経済的にも裕福そうな方がルルをお買い上げしそうですよ!!」
正直、今回ばかりは店長の目利きも外れたなと、容姿の部分と凶暴性に変わるも知れぬ身体能力に、加工業者は絶対嫌だから、過去のお客様を一人一人当たってみようと半ば覚悟していたロルフにとって、嬉しい誤算だった。
ほら、あれですあれと、浮かれて店長を呼ぶロルフは、その次の瞬間、自分の行動を後悔した。
目線でルルの飼い主になるであろう狼の獣人を示すなり、店長はその形相を悪鬼と変貌させた。
「んだとおぅ、よりにもよって狼か! クソ毛玉がっ」
吐き捨てるように言う言葉は、さきほどのおねぇ言葉は微塵も欠片もない。
濃い灰色の短い毛の先で窪んだ目が、憎悪に燃えている。言外に「この店に入ってきやがったらただじゃおかねぇ」と物申していた。
これから起こる嵐の予感に、ロルフの尻尾が思わず股の間に入り込む。
予感が間違いであってと祈っていたロルフを裏切るように、店の自動ドアと、その上部につけられた小さなベルが軽やかな音を鳴らし、来客を告げた。
ロルフの頭の中で、戦いのゴングが高らかに鳴らされた気がした。
「すいません。あの、あちらに展示されている……」
柔らかな落ち着いた声音が届く。
肩から風を切るように進み出た店長に、ロルフはなけなしの勇気を振り絞り、店長に先んじて入ってきた客に対応した。
「あ、はい。いらっしゃいませ。本日、入荷した新参の子ですね?」
背中で怒れる店長を押さえ、お客の前ではにっこりと笑う。
店長の物々しい気配に気付いたのか、それぞれの持ち場にいたスタッフたちがこちらに向かってくる気配を感じ、ロルフは自分を鼓舞した。いざとなったらスタッフ全員で店長を取り押さえ、お客を逃がす。
胸のうちで算段するロルフへ、大通りで何度も行き来していた狼の客人はどこか夢見心地の様子で頷いた。
「はい、あの天使をお願いします」
狼の呼称にまず耳を疑い、そして、狼が胸ポケットから出した黒光りするカードを見て、ロルフは雷に打たれたように痙攣した。
通称、ブラックカード。
とあるカード会社が世界で一握りの者にしか発行しない、まさに選ばれし者のカード。限度額は国家規模予算とまで噂される、都市伝説並みのレアなものだ。
この客、ただものじゃねぇとロルフの商魂魂が呼び起されそうになって、ふと我に返る。
「……あの、カードでお買い上げしただくほどの金額ではないかと思いますが」
何せあのルルだ。容姿は平凡、しかも成人オス。愛玩できる美貌もないし、遊ぶ(普通に)にしては凶暴かもしれないヒトに対してまともな値段がつけられる訳がない。
あの市場でも特価、国産牛肉500gと同じ値だったルルだった。ロルフとしては、それに色をつけて、あまりに安すぎても売れないからお手頃価格、3万エン程度が妥当。
儲けた分、しっかりアフターサービスしようと、笑顔がモットーの「アイラブヒト」のスタッフとして勤めようと思っていた。
だが、狼が口にしたのはロルフの想定外の言葉だった。
「そ、そうですね、すいません。あの天使ならばその値段もしかり! しかし、未熟な私には今持ち合わせの額がありませんで、お恥ずかしながらカードという手段でしか支払うことができないのです。どうか、お願いです! オレ、いえ、私に、あの天使と共に暮らすお許しを、いただけませんでしょうか!!」
ロルフの手を握り、真摯に言い募る狼に困惑が先立つ。
え、3万持ってないの。まぁ、金持ちは逆に現金持たずにカードで全部済ますとか言うけど。
もちろん大丈夫ですよと、困惑しつつも先を続けようとしたロルフの前に、今まで必死にスタッフが押しとどめていた店長が横から割り込んだ。
「駄目に決まってるじゃない! この憎たらしい毛玉が!! 貴様なんぞに、うちのルルちゃんは絶対渡さねぇぇぇ!!!」
おねぇ言葉が入り乱れる店長の咆哮に、慣れているはずのロルフまでちびりそうになる。初対面、しかも真正面からの咆哮に、狼のお客もさぞかしびびっているだろうと思っていれば、予想に反して狼は毅然と店長と向き合っていた。
「そこを何とか! 初めてだったんです! 今までヒトなんて興味も欠片もなかったのに、あの天使は、あの天使だけはオレの何かにどうしようもなく食らいついてきたんです!!」
「だから余計に性質悪いのよ! 言っとくけどあたしだって、ルルちゃんと出会った時、運命の出会いだと思ったんだから! 市場で見た瞬間、思ったわ。いえ、お互いが感じたのっ。これは運命、二人はきっと出会うために生まれてきたと、あたしの情動がそう叫んだのよ!!」
「だったら、オレもそうだ! 言っておくが、あの天使はアンタのためじゃない、オレのために降臨せし、黒髪の麗しの天使!! オレの本能が叫んでるんだ、あれは、間違いなくオレのものだ、と!」
「だから余計に渡せないって言ってんのよぉぉぉ!! こんの、無自覚、無節操毛玉がぁ!!」
強面の店長に、負けじと言い返す狼の客とのやり取りに、ロルフはしりもちをついたまま黙って見るしかない。
店長を取り押さえていたスタッフが床で失神している様を横目で眺めていれば、いち早く復活した猿のロビンがロルフに向かって耳打ちしてきた。
「……店長さ、やりやがったよ。特別展示室の値札見て来いよ」
苦り走った顔を見せるロビンに、店長と客の言い合いがまだ続く様を見て、ロルフは席を外す。
外に出て、大通りからルルの展示室を見た。
幸い展示室のカーテンを閉めたおかげで、店内の騒ぎは外から隠れて見えない。だが、ルルは見えないながらにも何かを察したのか、言い合っている方向に顔を向け、真面目な表情で何かを感じ取ろうとしていた。
こうして真剣な横顔を見ると、ルルは美しくはないがヒトのオスとしてかっこいい部類に入るのではなかろうか。売れ残ったら、つがいとしてお客様のヒトのメスに勧めることもできたかもなぁと今となっては考えても仕方ないことを思う。
気を取り直し、視線を移動させるより前に目に飛び込んできた、その値段と赤字の注意文に、ロルフは久々に血管がぶち切れる思いがした。
「店長ぉぉぉぉぉぉ!!!!」
自動ドアが開くのももどかしいと手で押し開け、ロルフは犬歯を剥きだして、客側の位置へついて吠えたてた。
「あの値段と文句は一体なんのつもりですか!!」
狼とやりあっていた時の剣幕はどこへやら、やましさを自覚している店長は一気に勢いを殺がれる。
「え? ……いや、あの」
怯んだ店長の腕を引っ張り、少し奥まったところへ連れていくと、ロルフは怒りを爆発させた。
「いいえ、やはり言い訳は結構!! ヒトもお客も笑顔な関係、そう謳う「アイラブヒト」の店始まって以来、最大の侮辱的行為、よりにもよって詐欺まがいなことを白昼堂々とよくもやってくれましたねぇ!!」
ロルフの言葉に、店長は体を震わせ、目をさまよい始める。「あ、そうだ。あたし、ルルちゃんの部屋のお掃除を」と下手な逃げ方をする店長のエプロンを掴み、ロルフは喉奥で唸りながら、追及した。
「あの値段。2,500万エンてのは何ですか? 牛肉500gぽっちで仕入れたヒトに対してつける値段にしては随分と阿漕じゃないですか」
言い訳しようと口を開く店長を目で押しとどめ、続けて言う。
「おまえけに、『限定販売三日間限り』って、ペットショップとして正気の沙汰じゃありませんよね。三日であのルルが売れると思ってたんすか? ん? 思ってませんよね。あまつさえ、売ろうとも思ってなかったんですよね、店長は」
言葉一つ一つに呻き声をあげる店長へ、ロルフが持つ店長に対しての唯一の武器を突きつける。
「いい加減にしねぇと、全スタッフ引き連れて、この店辞めんぞ。あ?」
ヒト大好きな店長が、社会的立場も偏見もたくさんあるヒトに対しての愛を真摯にスタッフに伝え、そのスタッフが店長の考えを受け入れ、実地や各自で学んできたヒトについての知識やノウハウ、そしてその経験は、今ではこの店の一番の財産となっている。
店存亡の危機をほのめかされ、さすがの店長もロルフに対して平謝りの態度に出た。
「ご、ごめんなさぁい! だって、だってルルちゃんが可愛」
「言い訳無用! 今回ばかりはとくと反省してもらいますからね!!」
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切りが悪くてすいません。